はじめに

文化経済学は広い意味での芸術を対象としている。対象となる財は、創造的内容を含むものである。ただし、創造的内容を持つということだけでは、文化的財として確定できない。文化的財の価値は、象徴的内容によって規定されており、物理的性質によっては規定できない。

経済学の考え方は、汚染や汚職、教育のような問題にも適用されてきた。芸術作品や文化には特別な性質がある。古典派経済学者アダム・スミスは、等価物がないので、芸術作品や文化を価値付けることはできないと考えた。アルフレッド・マーシャルは、ある種の文化的財の需要は消費に依存していることを指摘した。例えば、ある音楽を聴けば聴くほど、その音楽をより多く聴くようになる。マーシャルの経済学の枠組みの中で、こうした財には、限界効用の逓減は当てはまらない。そのような対象を扱う文化経済学の主要な著作としては、ボーモルとボーエンの著作(『舞台芸術:芸術と経済のジレンマ』)や、中毒財に関するゲーリー・ベッカーの著作、公共選択に関するアラン・ピーコックの著作がある。

 

参照:Wikipedia「文化経済学