文化産業
書籍や、録音物、映画は、オリジナルの複製物の存在から、その価値が定まる。こうした文化的財は、文化産業の生産物である。文化産業の市場は、次のように特徴付けられる。
・価値の不確実性。財の需要(成功)を予測することが難しい。これは、経験財の特質である。
・無限の多様性。自動車のような生産物に関しては、その性質に基づいて生産物同士を区別することができる。多くの生産物は、比較的少ない性質に基づいて分類することが可能である。しかし、文化的財の場合は、性質が多様であり、しばしば主観的である。このため、文化的財を互いに比較することは難しい。
・取引される生産物の高い集中。売り上げの主要な部分は、ベスト・セラーや超大作といわれるものによる。
・短い寿命。多くの製品は、短期間に売られる。
・高い固定費用。市場に出すまでに巨額の費用がかかる。映画の製作費用は、その映画の複製費用に比べてはるかに高い。
◯市場構造
主な文化産業は、寡占的市場構造である。市場は、2、3の主要な会社に支配されており、残りの市場に多くの小さな会社が存在する。小さな会社は、芸術供給の濾過装置の役割を果たしうる。つまり、成功を収めた芸術家を用いた小さな会社は、主要な会社の一角に登りつめることができる。テレビや映画の生産を一括した巨大な複合企業が、1920年代から存在している。1990年代には、産業の枠を超えた合併がいくつか行われた。合併によるシナジー効果や市場支配力は、期待されていた利益をもたらさなかった。2000年代の始めには、分野ごとの組織化が進んできた。
参照:Wikipedia「文化経済学」